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声劇・ボイスドラマ

タイトル:ようこそ、オカルト同好会へ!
ジャンル:コメディ
上演時間:約10分

人数:3人 (男:女:不問 2:1:0)


【登場人物】

・篠原 蓮 (しのはら れん)
オカルト同好会部長。無表情で淡々としているが、怪異に詳しい。
実は見える体質でありツッコミ気質。

・春日井 つばき (かすがい つばき)
オカルト同好会副部長。明るく人懐っこい性格だが、怪異愛が重い。
ぐいぐい来る感じのボケ担当。

・柏木 悠馬 (かしわぎ ゆうま)
新入生。部活見学をするつもりがうっかり巻き込まれた。
ツッコミ気質でオカルトには全く関心がない。




―――*―――*―――*―――*―――*―――*




悠馬:えっと、演劇部……演劇部はっと。
   確かこの部屋だったはず……あれ?
   この先、自己責任……? 演劇部ってこんな怖いこと書く?
   でもまぁ、何事も自己責任ってことで!
   失礼します、入部希望なんですけど!

つばき:はーい、いらっしゃーい! おお、男子じゃん!
    新入生だよね? オカルト好き? 私も好き! えー、両想いじゃぁーん!

蓮:春日井、それは両想いじゃない。
  れっきとした片思いだ。

つばき:えー? そう?
    だって入部希望だよ? 絶対オカルト好きじゃんね!
    私も好きだから、両想い!

蓮:いや、だから。
  
それは両想いじゃなくて、両片思い——

悠馬:それも違いますけど!
   え、いや……あの。
   ここぉ、演劇部じゃないんですか?

つばき:えー? 違うよぉ?

蓮:あんな全国大会に出てるような部がだぞ?
  こんな旧校舎の片隅に部室がある訳ないだろ。

悠馬:そ、そう言われれば……。

つばき:なになにぃ? 君は演劇部の部室を探してたの?
    あ、私は春日井つばき。
    2年生だよー、よろしくね?

悠馬:あ……柏木です、1年の。
   そうなんです、演劇部を探してて……。
   たぶん部屋、間違えたみたいです……。

蓮:柏木悠馬、
記録完了。
  俺は篠原蓮、部長だ。

悠馬:……記録?! というか下の名前!
   な、何を記録したんですか?!

つばき:えっへへー、ようこそオカルト同好会へ!
    もうここに足を踏み入れた時点で、君の運命は狂っちゃったんだよね~!

悠馬:……帰ります。

蓮:できない。

悠馬:……え?

蓮:今、この部屋には結界張ってる。
  そう簡単に出たり入ったりできない。

悠馬:いや、今入ってきちゃいましたけど!?
   というか結界って何ですか!? おまじない的なやつ!?

   物理的に閉じ込めないでくれません!?

つばき:ごめんねぇ?
    この部屋、元は音楽準備室だったんだけどさ?
    なーぜか夜になると音が聞こえるって噂があってさ~。
    それで蓮くんが調査したら案の定、いたって訳よ!

悠馬:い、いたって何が!
   というか、え!? 何それ、オカルト案件!?
   ここ、マジで出るんですか!? 
   え、やだやだやだ、演劇部どこぉ……!?

蓮:落ち着け。
  まだ被害は出ていない。
  ……今のところは。

悠馬:今のところはって言い方やめてくれます!?
   やだもう帰りたい!

つばき:大丈夫大丈夫、怖くないよ! そのうち慣れるから!
    ちなみに、私なんてもう4回くらい名前呼ばれてるし!

悠馬:え、それ怖い話だよね!? 慣れちゃダメなやつだよね!?
   というかそれって良くないのでは!?

蓮:さらにちなみにだが、最後に一番危ない目に遭ったのは俺だ。

悠馬:何でそんな誇らしげなんですか!?
   もうやだこの部! 退部します!

蓮:そうか、入部した気でいてくれたのか。

悠馬:いや、そうじゃなくて!
   ~~っ! もういいです、帰ります!

蓮:だからできない。

悠馬:そうだったぁ!

つばき:まぁまぁ、怖がらなくていいから!
    この怪異たち、意外といいやつらもいるから。

悠馬:たち!? たちって何! 複数いる感じ?!
   ていうかいいやつ……?! 幽霊が?!

蓮:学校とはそういうものだからな。
  実はこの部屋に出るやつは、悪さはしないが面倒くさいタイプだ。

悠馬:面倒くさいって……どういうことですか?

つばき:この部屋が元音楽準備室だってことは、話したでしょ?
    よくあるやつだよ。
    真夜中の誰もいない音楽室から、ピアノの音が鳴るの。

悠馬:それ絶対怖いじゃないですか!
   あ、でも確かによく聞くやつですね。
   それのどこが面倒くさいんです?

蓮:それがな。音は悪くないんだよ。
  むしろ綺麗で心地よかったりする。

悠馬:へ、へぇ……そうなんだぁ。

つばき:だから、見守ってあげてる感じかな。
    そういう共存も、結構ありだと思うの。

悠馬:な、なるほど……。
   何だか不思議な部活ですね。

蓮:まぁ、普通の学校生活じゃ味わえない経験ができることは確かだ。。

つばき:それに、ここでしか話せない話も山ほどあるよ!

悠馬:……ちょっと魅力的に思えてきた自分を呪いたい。
   でも、僕が入ったら変なこと巻き込まれるってことですよね?

蓮:それについては心配いらない。
  俺たちが守る。

悠馬:……何でちょっとかっこいいんですか。

つばき:大丈夫、安心して! 初心者歓迎だよ。
    それに、悠馬くんみたいに最初はビビってるのが普通だから。

悠馬:そ、そうですか……?
   じゃあ、少しだけ様子見てみます。

蓮:いい判断だ。

つばき:よし! じゃあ、歓迎会は今週の金曜!
    それまでにいろいろと教えるからね!

悠馬:分かりました!
   よろしくお願いします!




*放課後の部室にて、歓迎会の準備中*




つばき:お菓子とウーロン茶でしょー?
    それから蓮くんの大好きな激辛スナック。

蓮:いや、別に大好きじゃないから。

つばき:えー? そこは好きであってよ。

蓮:無茶言うな。

悠馬:あ、あのぉ……。
   オカルト同好会の歓迎会って、こんな感じなんです?

つばき:そうだよ!
    普段はオカルトなこともやるけど、今日は楽しくやるだけ!

蓮:ま、そう言いつつ実際は……毎年、何かしら起こるけどな。

悠馬:……何が?

つばき:そういえばそうだったねぇ!
    去年は部室の窓に顔がいっぱい貼りついててさぁ!

悠馬:いや怖っ!? 笑って話すことですか!?

蓮:でもまぁ、去年は軽いやつだったからな。
  今年も大丈夫だろ。

悠馬:何でそんなにのんきなんですか!

つばき:あ、大変! 買い忘れてるものがあった!

蓮:何だ。

つばき:本日の主役って書いてあるタスキだよ!

悠馬:……いります? それ。

つばき:えー、いるよ!
    だって悠馬くんが着けるんだよ?!

悠馬:だったらいりませんけど?!

つばき:いるの! 絶対いるんだから!

蓮:分かった、分かった。
  そんなに言うならすぐ買ってこい。

つばき:うん、そうする!
    ちゃんと私が戻ってくるまで、待っててよね?!

蓮:分かってる。
  さっさと行ってこい。

つばき:はーい! じゃあ、行ってきまーす!





*椿が出て行った直後、突然部室の電気がチカチカと明滅*




悠馬:うわっ!? なんか今、点滅しましたよね!?

蓮:あー……これは来たかもな。

悠馬:来た!? 何が!?

蓮:……今年はどうやら、あちらさんは本気らしい。




*電気がすべて消える*




悠馬:えっ!? 蓮さん、どうしましょう!
   真っ暗で何も……




*部室の扉がノックされる*




悠馬:だ、誰ですか……? つばきさん……?




*返事もなく、一定の間隔でノックが続けられる*




悠馬:ノック、3回……また3回。
   ……これ、何かの合図ですか?

蓮:(小声で)……開けるなよ。
  絶対に、開けるな。

悠馬:え……?

蓮:あぁいうのはな、人の声を真似して開けてさせようとするんだ。
  でも、誰もドアの前にはいない。

悠馬:え、それって……。
   つばきさんの声がするかもしれないってことですか……?

蓮:そういうことだ。




*再びノックした後、がんっ!と強く1回*




蓮:……大人しくしてろよ。

悠馬:(小声で)な、なんですかそれ! お札!? 本当に効くやつですか!?

蓮:あぁ、たぶんな。

悠馬:たぶんて何!?




*部室に鈴の音が微かに響き始める*




悠馬:今度は鈴の音?!

蓮:来るぞ――

???(つばきの声で):開けてよ、悠馬くん。
          ……ほら、つばきだよ?

悠馬:つばきさん!? でも、本当に……?

蓮:悠馬、目を閉じて耳も塞げ。
  見なくていい、聞かなくていい。




*何度も悠馬を呼ぶつばきの声*




悠馬:何なんだよ、もう!
   やめてくれ……僕は知らない、知らないってば!

つばき:蓮くん、いくよ――!




*突然部室の扉が開き、つばきが入ってくる*




蓮:遅い!

つばき:ごめん、ごめん!

蓮:じゃあ、一気に行くぞ。

つばき:任せて!
    悠馬くん、もうちょっとの辛抱ね!




*紙札を天井に向かって放る音*




蓮:祓え! 祓え、祓え、祓え――!




*ばんっ!という音と同時に電気が戻り、しばらくの静寂*




悠馬:おわっ、た……?

つばき:ふぅー、間に合ったぁ。
    今のはね、部室に染みついてるもののせいだよ。
    昔、ここでお祓いの失敗があったって記録が残っててね。

蓮:歓迎会の日は、狙われやすい。
  結界が開いてるから、呼ばれやすいんだ。

悠馬:呼ばれた……?

つばき:うん、悠馬くんのことだね。
    悠馬くん、今日この部室に来た時、道に迷ったって言ってたでしょ?

悠馬:あ、はい……。
   今考えれば、いつの間にか足が勝手に動いてたような気がします……。

蓮:やっぱりな。
  この部室、時々人を選んで呼ぶんだ。
  あれらにとって、必要な人間だけを。

悠馬:それって……僕が必要ってことですか?
   いったいどういう……?

つばき:それは、これから分かっていくよ!
    でも、ひとまず! ようこそ、オカルト同好会へ!

蓮:今更断るとか、する訳ないよな?

つばき:まぁ、本当に断ろうとしても!
    もう入部届、出しちゃったんだけどね!

悠馬:え? ……えぇぇぇぇぇぇっ!?!?





 

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