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2chスカッと系シナリオ

       身内だからって何でも許されると思ってる母親に絶縁を叩きつけた結果www



 私の名前は桜井百合子、25歳の社会人4年目だ。
 一人暮らしを始めて3年ほど経つけど、母から頻繁に連絡が来て迷惑している。
 最初はただ、一人暮らしの私が心配なんだと思おうとしていた。
 しかし仕事中もお構いなく連絡をされるので、とうの昔にそんな思い込みはやめている。
 何せ私が入社してすぐの時、自分の話を聞いてほしいがためにざわざわ会社に連絡をしてきたほどの人なのだ。
 そのせいもあって、私は会社でちょっとした有名人になってしまった。
 もちろん上司から問題児として目を付けられてしまったが、仕事を誠実にこなしていくことで事なきを得ている。
 そんな努力の甲斐あって、何とか平穏な社会人生活を楽しんでいるところだ。

 そうして真面目に仕事をしていたある日、ついに私が恐れていたことが起きる。
 いつもの如く、朝起きると母から大量の連絡が届いていた。
 この日は着信が100件、メッセージアプリの通知は500目前。
 一応何かあったかもしれないと思ってメッセージを確認すると、帰ってこいや相談に乗ってなどの催促ばかり。
 母はいつだってすぐに本題には入らず、私が反応して初めて話し始めるのだ。
 そしてその内容は、いつだってくだらないものしかない。
 父とケンカをした、ご近所さんに悪口を言われた。
 そんなことばかり言ってくるものだから、私はもちろんこの連絡を無視。
 普段通りににこやかに出社して、朝礼を終えると午前の仕事に取り掛かった。

 しばらく真面目に仕事をしていると、突然スマホが震えた。
 何事かと思って画面を見ると、そこには母の文字が。
 わざわざ電話を掛けてきたようだけど、今は仕事中。
 どうせろくでもないことなので、ミュートモードにして放置することにした。
 ちらりと上司の方を見ると、思い切り怪しげな視線を向けられている。
 それを愛想笑いで切り抜けて、懸命に午前の仕事を片付けるのだった。

 昼休憩になると、私は気晴らしに会社の外に出た。
 その日は天気が良かったので、サンドイッチを買って近くの公園で食べる。
 何の気なしにスマホを見ると、着信やメッセージがさらに増えていた。
 着信999件、メッセージ1500件。
 あり得ない量の通知に、私はそっとスマホをポケットにしまった。

 そうして昼休憩を終えると、私は自分の席に着く。
 午後の仕事も頑張ろうと気合いを入れたところで、上司に呼ばれた。
 嫌な予感がしつつも上司の前まで行くと、かなり不機嫌な顔をしている。
 しかもその理由は、母が原因だった。

 上司の話によると、私が昼休憩で席を外している1時間のうちに母から連絡があったらしい。
 それも1度だけでなく何度も繰り返されたせいで、受付の人が辟易してしまったとか。
 私は慌てて上司に謝り、何度も頭を下げる。
 すると上司は大きなため息をつき、今すぐに問題を解決して来いと言って早退を命じられた。
 私は本当に申し訳ない気持ちになり、食い下がることもできずに急いで荷物をまとめる。
 上司や部署内の人たちに何度も頭を下げながら、逃げるように帰宅するのだった。

 会社から出ると、最初は恥ずかしくて顔が真っ赤になった。
 でも帰宅の途中から、段々と怒りに変わっていくのが分かる。
 どうしてこんな目に遇わなければならないのか。
 いったい、母は何を伝えたくて会社にまで連絡してきたというのか。
 そんなことを考えながらようやく帰宅すると、私は怒りのあまり自宅がアパートだということ忘れてドアを思い切り閉める。
 その勢いで母に文句を言おうとスマホを取り出すと、ちょうどタイミングよく着信が入った。
 絶好の機会に、今日という今日は許してやるものかと電話に出る。

「あ、もしもし百合ちゃん? やっと電話に出てくれた。何してたの? お母さん、心配だったんだから。あ、それでね。ちょっと聞いてよもー。お父さんたら、お母さんのことうっとうしいとか言うのよ! ほんとやんなっちゃうわよねー!」

 電話に出た途端、私が言葉を発する間もなく母のマシンガントークがさく裂した。
 こういうことはしょっちゅうで、私はいつも面倒くさくなって電話をつないだまま別のことをする。
 しかし今回はそういう訳にもいかず、母の息継ぎのタイミングを見計らって割って入ってやろうと考えていた。
 考えてはいたのだが、母から発された言葉に私は耳を疑うことになりそれどころはなくなってしまう。

「だからお母さん、お父さんとケンカしちゃったのよぉ。そしたら出てけって言われたのよ、酷いでしょ?! だからお母さん、いよいよ愛想が尽きちゃってね! 言われた通りに荷物をまとめて、家を出てきてやったわ! 今百合ちゃんの住んでるアパートの前にいるのよ!」

「……え。えぇ?! ちょっと待って、今なんて言ったの!?」

「え? だから、今百合ちゃんの住んでるアパートの前にいるの! いいから早く入れてちょうだい!」

 完全に興奮している母が、矢継ぎ早にいろんなことを言う。
 私はそれを理解できず、混乱するしかなかった。
 そして恐る恐る窓の外を確認すると、本当に母がアパートの前に立っている。
 しかもしっかりとキャリーケースまで引いて、上がり込む気満々だ。
 いないふりをしようと思ったが、残念ながらその前に母と目が合ってしまう。
 母は私の顔を見た途端、満面の笑みを浮かべて姿を消した。

 このままでは母が上がり込んできてしまう。
 どうしようかと考えを巡らせていると、無情にもインターホンが鳴ってしまった。
 淡い期待を込めてドアスコープを覗くと、本当に母が立っている。
 思わず顔が引きつった瞬間、母がドアを思い切り叩いてきた。

「百合ちゃーん? お母さんよ、開けてちょうだい!もう本当にここまで来るのに疲れたわ! 早く中に入れて、お茶の一杯でも飲みたいくらいよ!」

「知らないから、そんなの! 勝手に来ないで、帰ってよ!」

 私が思わず怒鳴り返すと、母は一瞬黙った後でさらに喚き始める。

「何てことを言うの! お母さんこれでもね、長旅で疲れてるんだから! 娘なら母親をいたわりなさい!」

「連絡もなしに来ないでって言ってるの! 迷惑よ!」

「連絡はしたでしょ! それを確認しなかったのは百合ちゃんでしょう!」

「用件も言わない連絡は、ただの迷惑だって言ってんの!」

 そうやってしばらくドア越しに、入れろ入れないの攻防をしていた。
 しかしこのまま続けていては、どう考えても近所迷惑だ。
 これからもここに住み続けるつもりでいる私にとって、トラブルはできるだけ避けたい。
 そう考えてしまってはどうしようもなく、私は渋々ながらドアを開けることにした。

「あー、よかった! やっぱり百合ちゃんは優しい子よねぇ。お母さん、嬉しいわ! それにしても何? この部屋! とても女の子の一人暮らしとは思えない状態ね! お父さんもそうだから、やっぱり親の背中を見て育った結果かしら。いやぁねぇ、もー!」

 ドアを開けるや否や、母が雪崩れ込んでくる。
 私を貶しながら父の悪口を言い、自分のことを棚に上げる母。
 靴を脱ぐのもそこそこにずかずかと上がり込み、キャリーケースもそのまま引っ張ってくる。
 もちろん車輪の汚れを落とすだとか、床に傷を付けるかもしれないだとかは考えていない。
 母は、自分さえ良ければ後のことはどうでもいいのだ。

「ちょっと、やめてよ! 汚いでしょ! それに、傷がついたら修復しなきゃいけないのよ!? どうしてくれんの!?」

 私が慌てて止めると、母は急に不機嫌になる。
 母は自分が悪いなどという考えを持ち合わせていないので、他人に指摘されると機嫌が悪くなるのだ。
 酷い時には癇癪を起し、手当たり次第にいろんなものを破壊し始める。
 私はアパートに住んでいるため、少しでも破損させてしまえばそれを弁償しなければならない。
 そんなリスクが母がいるという状況だけで格段に上がるのだから。これは最悪の事態である。

「迷惑だから帰って。どうしていつも何も考えずに行動できるの?」

 私がうんざりしながら言うと、母はすぐさま顔をくしゃくしゃにした。
 そして今にも泣きそうな顔をすると、同情を引こうとでもしているように弱々しい声で泣き言を言い始める。

「帰るところがないのよ。お父さんとも離婚してきちゃったし、実家に帰ると兄さんがいるでしょ? お母さん、いっつも身に覚えのないことで叱られてばっかだし、兄さんが怖いのよ。百合ちゃんは私の娘なんだから、もっとお母さんをいたわってくれていいじゃない。今まで大事に育ててきたのに、どうしてそんなことを言うの? ねぇ。お母さん、どうしたらいい? 教えて、百合ちゃん」

「知らないよ、少しは自分で考えたら?」

「なんて冷たいの! どこで育て方を間違えたのかしら……!」

 顔を覆ってさめざめと泣き真似を始めた母に、私はカチンときた。
 自分がどれだけ周りに迷惑をかけているのか、何も知らずに被害者ぶる様に我慢ができなくなったのだ。
 父との離婚だって伯父が母に厳しいのだって、全部自業自得なことは知っている。
 そして私に指示を仰ぐことで、自分で考えることを放棄するのだ。
 身勝手な振る舞いしかしない母に、私はいよいよ堪忍袋の緒が切れた。

 私は無言で母の腕を引っ掴むと、玄関へと引っ張っていく。
 もちろん母は抵抗したが、20代の私と50手前の母とでは力比べをするだけ無駄だ。
 ぐいぐいと引っ張っていく私に、母はつんのめりながらも引っ張られる。

「や、止めてよ、百合ちゃん! お母さん、痛いわ! どうしてこんなことをするの? 何をしようとしているの?」

 懸命に私の手から逃れようとする母だが、私は決して容赦はしない。
 ここで少しでも力を緩めてしまえば、また母はつけあげる。
 そうして今度は、そのことを棚に上げて私を意のままに動かそうとしてくるだろう。
 長年見続けてきた母の行動など、まるっとどこまでもお見通しだ。
 私は玄関まで母を引っ張ってくると、遠慮なくドアを開ける。
 そして渾身の力で母を放り投げ、母は私の勢いに負けて外へと転がり出た。

「何てことするのよ、痛いじゃない! 年寄りなんだから優しくしてちょうだい!」

 痛みに顔を歪める母を無視して、私はキャリーケースを乱暴に掴む。
 そして母と同じように放り投げると、母が大事そうに駆け寄り抱きかかえた。

「何なのよ、この親不孝者!」

 非難がましい目を向けてくる母に、私の機嫌は一気に下がる。
 そして近所に聞こえることなどどうでもよくなった私は、腹の底から声を出して怒鳴りつけた。

「黙れ、この毒親!」

 すると、母が一瞬にして静かになる。
 ぽかんとした顔をして、しばらく呆然としながら私を見ていた。
 そうして母が黙ってくれたのをいいことに、私は今まで溜め込んでいた鬱憤を晴らすことにする。

「てめぇ、いい加減にしろよ!」

「て、てめぇ……?! なんて言葉遣いなの! お母さんはそんな風に育てた覚えはありません!」

「うるせぇなぁ! てめぇのせいでこうなってんだよ! 身内だからって甘えてんじゃねーぞ?! 私はもう大人で、自立してんだよ! いい加減、自己責任ってもんを覚えな! そりゃあ、誰かに決めてもらったら、もし何かあったときにそいつを責めて悲劇のヒロイン気取れるかもしれねぇけどさぁ! いい歳して、まだ他人のせいにするつもり?! どうせ離婚も嘘なんだろ? 恥ずかしくねぇのかよ! もう二度とてめぇの顔なんて見たくねぇんだよ!」

 一気にそう捲し立てると、母はきょとんとした顔をする。
 まるで私が何に対して怒ってるのか、分かっていないというような顔だ。
 その呆けた顔に無性に腹が立ち、私は思い切りキャリーケースを蹴飛ばす。
 かなりの勢いであらぬ方向へ飛んでいったキャリーケースに、母はようやく怯え始めた。
 もちろんここで、お得意の舌先三寸を披露することは分かっている。
 少しずつ話題をすり替えながら、ほら私は悪くないでしょという具合に話を持って行くのだ。
 当然そんな姑息な手を使わせないために、私は母に口を挟ませる前に言葉を続けた。

「ここまで言われて何も言うことはない訳? 自分が置かれてる状況、分かってんの? もしかしてまた一言目から分からないとかいうつもり? もういい加減にしてよ!」

 他にも肝心なところではいつも責任を押し付けてきたこと、いつも自分の都合ばかり押し付けてきたこと。
 くだらないことで会社にまで連絡をしてくること、そのおかげで私が肩身の狭い思いをしていること。
 今まで我慢してきた思いを、ここぞとばかりにぶつけてやった。

「いつまでも干渉してきてうっとうしい。私が何のために家を出たと思ってるのよ! そんなことも分からない世間知らずの非常識とは、金輪際縁を切るわ! 絶縁する!」

 そう言った途端、母の顔が真っ青になった。
 唇をわなわなと震わせながら、私に縋ってこようと手を伸ばす。
 しかし私はそんな母を無視して、目の前で思い切り玄関のドアを閉めてやった。
 もちろんしっかりと鍵をかけて。
 鍵のかかる音が聞こえたのか、今度は母がドアに縋ってくる。
 どんどんと激しく叩きながら、泣き喚き始めた。

「百合ちゃん! 百合ちゃんってば! お母さんを見捨てるの!? こんなに頑張ってるのに!? どうして、百合ちゃん! どうしてお母さんのことをそんなに嫌うの?! ねぇ、百合ちゃん!」

 どんなに泣き喚こうが、私は母を無視した。
 そして黙ってスマホを取り出し、父に電話をかける。
 その間も母がずっと喚いているので、私は時々うるさい黙れと怒鳴り返しながら父に事情を話す。

「もうもし、お父さん? 母さん、うちに来てる。……うん。もういいの、縁を切ったから。うん、だから今すぐ引き取りに来て」

 どうやら電話越しにも母が泣き喚いている声は聞こえたようで、父は大きくため息ついて分かったと言った。
 そして沈んだ声でしきりに謝ると、電話を切る。
 この間にも、母はずっと泣き喚いている最中だ。
 ドアを叩いてはわぁわぁと叫び、訳の分からない言葉を発している。
 いつものことだ。
 母が悪いということを理路整然と並べたてると、急に癇癪を起して大暴れする。
 そうしてこっちがなだめすかし始めると、勝ち誇ったようにどれだけ自分が悲しかったかを訴えるのだ。
 ここまで来るとこちらも面倒くさくなって、してほしくないことややってはいけないことを強く言い聞かせる。
 すると、その時だけは親身に受け入れて納得するのだ。
 しかし残念ながらそれから数日経つと、まるで何事もなかったかのように振舞う。
 そういうことをずっとしてきた人だ。
 私はもう母のことを信用できないし、情けを掛けることすら煩わしい。
 だからこれがいい機会になった。

 私が大きくため息をつくと、突然ドアを叩く音が止んだ。
 外から聞こえてくる母の声が、ふいに父を呼ぶ。
 どうやら父が引き取りに来たようだ。
 母は父に希望を見出したのか、私から父に縋る相手を変えた。
 しかし父も父で母には愛想を尽かしているようで、私同様無下にされたようだ。
 母の泣き喚く声が、さらに強くなる。
 どうせ私のことを貶して、自分がいかに可哀想かを訴えているのだろう。
 しかしそんなくだらないことに、父が騙される訳もなかった。
 母の声がぴたりとやんだかと思うと、次の瞬間には今までで一番大きな声に変わる。
 何が起こってるのかと窺う前に、突然父の声が飛ぶ。
 どうやらこのまま母を引き取るから、落ち着いたら連絡をくれるようだ。
 私はできる限り大きな声で分かったと返事をして、母の喚き声が遠ざかっていくのをしばらく聞いていた。

 まったく声が聞こえなくなると、私は急いで母からの連絡手段をすべてブロック。
 その後すぐにご近所周りをして、さっきまでの騒音を謝罪して回る。
 あれだけの騒音だったこともあって、もちろんご近所さんたちは事情を把握してくれていた。
 1件1件尋ねる度に、同情して励まされてしまっては苦笑いしか出てこない。

 ようやく家に帰ると、父からメッセージが届いていた。
 どうやら父は、母と離婚することにしたらしい。
 というか、もう既に離婚届を提出してきたんだとか。
 母の言ったことが現実となったことに関しては、自然と頬が緩んだのはお気付きだろう。
 そうして母は実家に送り返されることになり、大の苦手な伯父に面倒を見てもらうことになったそうだ。
 もう安心だという父の言葉に、私はようやく肩の荷が下りたような気がした。

 それから、私は念のために引っ越すことになった。
 離婚の慰謝料を使って、父が全額負担してくれるという提案に乗ったのだ。
 今回のことを会社に報告すると、上司に大きなため息をつかれながら苦労したなと労いの言葉を賜った。
 その言葉を胸に、私はこれまで以上に仕事に励んでいくつもりだ。




 

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